第三回 論語勉強会 
あるあり

瀬戸塾師範 瀬戸謙介

【原文】

子日、有徳者必有言、有言者不必有徳、
仁者必有勇、勇者不必有仁

【書き下し文】

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(とく)ある(もの)(かなら)(げん)あり。
(げん)ある(もの)(かなら)ずしも(とく)あらず。
仁者(じんしゃ)(かなら)(ゆう)あり。
勇者(ゆうじゃ)(かなら)ずしも(じん)あらず。

  

徳・・・・・道を(さと)った立派な行為。身に付いた品性。
      人を感化する人格の力。
仁者・・・・仁の道に達した人、
仁・・・・・道徳の最高の形態

【解説】
 一生懸命努力し徳を積んだ人の言葉には必ず真実みがあり、素晴らしい言葉を発するしかし、立派なこと、良いことを言う人が必ずしも徳の有る人とは限らない。普段、立派なことを言っていても、いざという時に尻尾を巻いて利に走り口を拭って素知らぬ顔をしている人間がいかに多いことか、私は身を以て体験しています。「巧言令色鮮なし仁」に一脈通じる言葉です。
 素晴らしい人格者は必ず勇気(正しい行動、おこないが伴っている)がある。しかし、勇気の有る人が必ずしも人格者とは限らない。 勇気にも色々あります。血気の勇とは感情にまかせての暴れ者、自分の立場、その場の状態、空気を読めずにただ自分の言いたいことを述べる者の事を言います。一見勇気ある行動のように見えるものでも、そこに知性と理性を伴う思慮、分別がなければ却って世の中を乱す事になります。
瀬戸塾新聞22号掲載記事(2006,2)

 

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