〜偽 善〜

瀬戸塾師範 瀬戸謙介

 先日、視聴者参加のテレビ討論会を見ていたところ、小学校教師だという参加者が『私は子供達を連れ、韓国の子供達との交流目的で韓国に行きました。行った日に韓国の子供達と一緒に日本軍の拷問の様子を再現したという記念資料館に連れて行かれました。連れて行いかれた子供達の中には、その様子を見て泣き出す子もいました。それから韓国の子供達と一緒に昼食を取りましたが、子供達は昼食を食べることが出来ませんでした。その時、韓国の先生が「日本と韓国の間には君達のおじいちゃん達が犯した忌まわしい過去があります。けれども君達には罪はありません。過去の歴史をしっかりと認識をして私達はより良い方向に向かっていこうではありませんか。」その話を聞いた子供達はその心溢れる優しさに触れ、救われたのと同時にそれからは和やかな雰囲気で交流が出来ました。私も彼等の優しい思いやりに大変感激しました』という内容の意見を言っていました。
 私はこの話を聞いた時に、警察の取調べ室を思い出しました。強面の刑事が犯人を徹底的に脅かし恐怖心を煽り、心が萎縮した所で、少し年輩の刑事が優しく情に訴える。そういう情景が脳裏に浮かんだのです。
始めに贖罪の意識を徹底的に植え付け、そして優しい振りをしてそっと手を差し伸べる。相手は罪の意識があるから凄く感激をする。そうすることによって精神的に優位な立場に立つ。
 本来、友好が目的ならばそのような所に案内すること事態、大変無礼な話です。友達を家に招待をしたにもかかわらず、散々その友達の両親の悪口を言って、でも私と貴方は友達よ、と言っているのと同じです。
 この様な、感性の麻痺した小学校教師が居る限り日本の教育は絶対に良くならないとつくづく感じました。批判力、判断力のまだ備わっていない子供には先ず生きる喜びや誇りという心の土台をしっかりと築くべきです。日本人に生まれてきた事を誇りに思える様にしっかりと教えるのが教育者の務めです。
 私が幼少の頃は西郷隆盛、中江藤樹、二宮尊徳など素晴らしい偉人の生きざまを学び、「学問に励み、頑張ることによって世の中に役に立つ人間になれるのだ、彼等のような人間になって世の為に尽くそう。」と思い、勇気が湧いてきたものです。そういう方向に教え導くのが教育の役割です。
 教育の現場で「日本は悪いことを沢山してきたのだ。だから私達は常に反省せねばならないという贖罪意識をまず植え付けることが大切。」という考えの基で授業を進めている先生が多くいることは非常に残念で仕方有りません。  以上
瀬戸塾新聞25号掲載記事

 

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