ヨーロッパで発売されている空手専門雑誌「TRADITINAL
KARATE」のインタビュー記事です。
緑文字が記者質問、黒文字が瀬戸先生の回答です。
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日本人の間で大変ポピュラーな野球などに対してなぜあなたは武道を選んだのですか?
たしかに日本において、野球はとてもポピュラーです。
私も野球で遊ぶのはとても楽しいです。私は、野球に限らず、多くの武道、スポーツ(剣道、杖道、ライフル、スキー、カヤックetc)を楽しんできました。その中で特に空手を一生懸命にやってきた理由は、空手を練習することにより、より深い心の満足が得られたからです。
今では、空手は私の人間形成の基本であり、空手を通じて人生哲学を学び、もはや空手は私にとって人生そのものであり宗教に近いものです。
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あなたを魅了している武道とはどんなものですか?
一言でいえば恐怖心が有ることです。未知の人と対峙したときにどのような技を持っているか、どのような精神状態であるかは解りません。ですから相手の懐に飛び込んでいくのは非常に怖いです。しかしその恐怖心を乗り越え「心を無」にして飛び込んだ時に初めて活路が生まれます。その恐怖心をいかに克服するか、その心の格闘が大切であり武道としての魅力です。恐怖心を味わう事の無い武道は武道ではありません。
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あなたは数多くの外国で指導したことがあると聞いていますが、海外で教えるというのはいかがでしたか?
海外で教えるというのは、日本で味わう緊張感とはまた違った緊張感が有り、非常に勉強になるし、それがまた楽しいです。
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組手と形とどちらが好きですか?
組手がなければ私はここまで空手を続けて来なかったと思う。空手の魅力の一つには組手があるからだと思う。しかし、形や基本が無ければまた、私は今のレベルに達しなかったし、やはり続かなかったと思う。形と組手とどちらが好きかと聞かれれば組手と答えるが、形の重要性はしっかりと認識している。
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空手道の成功への道は何と思いますか?
成功したかどうかというのは、人間死んでみなければ判らない。
しかし、空手の道を探求し、より高度な世界を求めて行くには、まず何よりも空手が純粋に好きになることです。好きになればどんなに苦しい修業でも楽しめる。苦しい修業が楽しくてしかたなくなればあなたの空手はステップアップした証拠です。
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武道の稽古において、肉体的、精神的に強くなるにはどのようにすればいいですか?
武道に置いて肉体的、精神的強さを求めるには、まず徹底的に激しい練習をすることです。肉体的に強くならなければ、決して精神的に強くは成れません。武道論を論じると、とかく精神面に重きをおいて人々は話したがりますがそれは間違いです。根底に、肉体的、精神的にも絶対的な強さがあって初めて精神論を論ずることが出来ます。
頭でっかちになり、精神論ばかりを論じている者は「いざ」というときに逃げ腰になり、いろいろ理屈をこね死ぬことが出来ません。
人間、普段言っていることを「いざ」と言うときにどれだけ実行できるかが重要です。
武道の終業とは、名誉のため、正義のためなら何時でも自分の身を投げ出す覚悟を養うものです。
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現在のあなたの成功は何処にあると思いますか?
私はまだ自分が空手に置いて成功したとは思っていない。ただ、チョットだけ一般の人よりも長く、一生懸命やってきたお陰で今指導する立場にいるだけです。
まだまだ成功と言うには程遠いです。
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目標やゴールはあなたにとってどのくらい重要ですか?
目標を持つということはとても大切なことです。しかし、一つの目標を立て、やっとその目標に近づいた時には、より深い世界が見えてきて次なる目標が現れてき、ゴールは永遠にたどり着けないと思います。終わりが無い、これが武道で言うところの「道」ではないかと思います。
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武道の稽古で集中するために特別な場所は有りますか?
武道の稽古に置いて、集中する特別な場所など無いと思います。稽古する者の心掛けしだいです。
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多くの空手家は、形の持つ意味を知らずにただ順序だけを追って演じているようですが、その様な空手の有効性をあなたはどのように考えていますか。
武道と言うものは、殺傷を目的として生まれてきたものであり修業にあたっては危険が伴います。その危険な「技」をより安全に、確実に伝える方法としてあみ出されたのが形です。形にはあらゆる状況に対して全ての応じ方が含まれています。無数とも言われる攻防の中より修業の目的に分類し組み立て、作り上げてきたのが形です。基本的な動きの突き、蹴り、受け、打ちなどを攻撃と防御とを定め正確な空手の動きを身に付けさすためのものです。ですから形を学ぶには一つ一つの動きの意味を確実に理解しその状況をイメージしながら練習しなければ何の意味もありません。
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松涛館空手を長年稽古してきて貴方は個人的にはそこから何を得ましたか?
空手を通じて誇りと自信、そして品良く生きることを学びました。
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以下についてどのような願望を持っていますか?
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個人的な発展
空手は私にとって宗教と同じです。多くの宗教家が説てるように、素直な気持ちで人を愛せるようになれば最高です。
JKA(日本空手協会)、及び空手の将来の発展
JKA(日本空手協会)は、世界最大、最強の団体です。ですからJKAが中心となって、世界に対し真の空手を伝えていく義務があると思います。そして本当に価値のあるものであるならば残っていくし、人類にとってたいして価値の無いものであれば、自然と消滅していくものだと思います。その為にこれからも,真の空手、正しい空手とは何かを伝えていきたいと思っています。しかしそれによる結果は私にとって大した問題ではありません。それよりも自分がどれだけ情熱を持って接したかが問題です。
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最後に、これらの願望をどのようにして実現していきますか?
修業あるのみです。
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有り難う御座いました。 |