推薦図書

         
「運命を開く」

     安岡正篤著  
     プレジデント社 出版 
                
 安岡氏は数多くの著書があり、そのどれもが人間形成において蘊蓄が深く、感銘を受ける本ばかりです。安岡氏は手練手管の類を非常に嫌った人です。小手先だけの人生は一見成功したかに見えても長持ちはしない。本物以外は歴史の批判に耐える事は出来ない。人生において権謀術策などは用いず王道を堂々と歩む事こそが大切です。そして王道を歩むためには安岡氏は「まず、第一に古今の優れた人物に学ぶことです。われわれの同時代の優れた人物に出来るだけ親炙し、時と所を異にして親炙することができなければ、古人に学ぶ。私淑する人物を持ち、愛読書を持つということが人物学を修める根本的、絶対的条件です。その次に、怖めず臆せず、勇敢にそして己を空しゅうして、人生のあらゆる経験を嘗め尽くすことです。その体験の中にその信念を生かし、初めて知行合一的に人物を練ることができるのです」そして「人物を学び自分を練るには、偉大な人物の面目を伝え、魂を込めておる文献に接することです。その点、古典というものは歴史のふるいにかかっておるから力があります」と常々おっしゃっておられました。
 安岡氏は古今東西の書物を読破し、人間としての在り方を探求し、自ら求道し実践した人です。その安岡氏の著書の中から今回は「運命を開く」を紹介します。
 安岡氏が長年にわたり各地で行われた膨大な講義・講演の中から本の題名に適した内容のものを選出し出版したものです。
「国家存亡の四過程」・・・なぜ江戸は300年も続いたのか。
「人間を創る」・・・人間の要素というものは大きく分けると徳性、知能、技能、習慣の四種類に分けることができる。その中で一番大事な人間たる本質、人格としての人間たる本質は「徳性」である。と解き、徳性の大切  さを述べています。
「親と師は何をなすべきか」・・慈愛そして敬と恥この気持を子供にあたえなければいけない。それにはまず親が「敬」の対象にならなくてはいけないとし、垂範の大切さを説いています。
「道徳の美学」・・如何に「身を美しくする」ことが大切か
「養生と養心」・・自分の体ひとつ思うように支配できなくて、天下国家を大言壮言しても、人を動かすことが難しい。
などこれら全ての項目でいえることは勉学、教育、道徳、の大切さであり、そして如何に「誠」を貫いていきることの大切さを説いています。
今回紹介した著書に限らず是非安岡正篤先生の書かれた本を読むことを勧めします。どの著書を読んでも大変勉強になります。