推薦図書
新武士道
日本の魂
塚本三郎 吉田忠夫 著
人間の科学社 出版
著者塚本三郎は元衆議院議員、民社党委員長で国会での質問は骨太で大局を見据えた答弁で塚本節として鳴らした。
1978年7月から8月にかけて福井県(地村保志・濱本富貴惠)・新潟県(蓮池薫・奥土祐木子)・鹿児島県(市川修一・増元るみ子)(敬称略)において発生した若年男女の行方不明事件、富山県高岡市で発生した若年男女の拉致未遂事件について北朝鮮による犯行ではないかと指摘し、真相究明を求めた。この質問は国会において初めて北朝鮮による日本人拉致について取り上げられたものであったが、竹下首相からは明確な答弁を得られなかった。
本著は、「太平洋戦争の本質はなにか」「東京裁判とは何だったのか」「第九条、平和憲法に関して」などを題材にしながら武士道の徳目である所の勇気、仁愛、礼節、克己などを、現代史、あるいは現状から引用しながら民族の尊厳、宗教観、日本人の持っている本質などをのべ、私達の心の在り方を説いています。
「民族の独立と尊厳」の項では・・「家貧しくして孝子出で、国亡びて忠臣出ず」自国を卑下し、先祖を卑しめ、輝かしい歴史を曲げる歪んだ人達にこの国を明け渡すべきではない。
宗教に関して・・宗教界には「良い宗教」と「悪い宗教」があると論ずる者がある。しかし、宗教には、本来悪が内在する事はありえない。問題は布教する人、信ずる人によって伝え方、伝わり方が異なってくることにある。いかに、立派な仏法であってもそれを信じ行ずる人が堕落した生活であれば、仏法そのものまでを卑しめることになり、そのような教団が大きな力を持てば国を危うくする。
本著の随所に日本の現状を憂い、日本人としての有るべき姿を説いています。題材が遠い昔の話しでないだけに、読んでいて武士道の精神が身近に感じられとても解りやすい本です。
瀬戸 謙介