推薦図書

 
 日本絶賛語録
        

        松尾 正明 編纂
        小学館 出版




 この本は一五四九年(戦国時代)にやって来たザビエルからライシャワー駐日米国大使までの約四五〇年間に日本に来た外国人が日本に対してどのような印象を持ったかを記録した百十一の歴史的証言集です。
 大森の貝塚を発見したモースは日本の子どもに関して次のように記しています。「ここでまた私は、日本が子供の天国であることを、くりかえさざるを得ない。世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない。ニコニコしている所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらしい。日本は確かに児童問題を解決している。日本人の子供程、行儀がよくて親切な子供はいない。また、日本の母親程、辛抱強く、愛情に富み、子供につくす母親はいない」
 日本の子供に関しては「思慮深く優雅を重んじる日本の子ども」「児童問題を解決した国」「世界一礼儀正しい日本の子供」「西洋に先駆けた教育の原理の現実」など多くの日本に来た人々が日本の子供たちの可愛らしさと礼儀正しさなど質の高さを絶賛しています。この本は子供のことだけでなく、「治安、勤勉、礼儀、親切心、平等な精神、ユーモアーに富む国民性、等々」日本人全体の質の高さに驚き、あらゆる方面から書かれています。
 この本を読んでいて我が身を振り返ってみると、同じ日本人のことを書かれているとは思えないほど現代の日本人の質の低下に愕然とせずにはいられません。桜の花見風景一つ取っても何と艶やかで優雅で本当に花を愛でている。それに引き替え現代の花見風景は桜の花の下でゆっくりと自然を観賞するのではなく、酒を飲み乱痴気騒ぎをしているだけです。あの礼儀正しい、誇り高き日本人は何処に行ったのでしょう。私たちの体の中には必ずこの絶賛された当時の日本人のDNAが僅かながらでも残っているはずです。この本を読んで私たちの身体の奥底に眠っている日本人の心をもう一度呼び戻してはと思い推薦しました。