推薦図書

 
「武士道」解題
        
   李登輝 著


   小学館 出版


 

 新渡戸稲造著(原本は英語で書かれた本です)「武士道」を訳した本はここ数年来数多く出版されていますがどの本をとっても学者肌の人が翻訳したものばかりで、参考には成るが今ひとつ迫力に欠けるものばかりでした。しかし、李登輝氏が書かれた「武士道 解題」は彼が生き抜いてきた現実との葛藤、実績、常に武士道精神を基本にして生きてきたといった自信が盤石なものとしての有り、読む者に対してエネルギーが直接伝わってくる書です。著書の中で一貫して語っていることは、日本には数多くの素晴らしい伝統と文化があるがその遺産の中でも最も素晴らしい精神文化「武士道」を今の日本人は忘れかけている。大和魂、武士道という伝統的価値観こそ、日本人が最も誇りに思うべき普遍的真理であり、人類社会がいま直面している危機状況を乗り切っていくために、絶対に必要不可欠な精神的指針になる、と信じて疑わない。過去を否定する日本人の自虐的な価値観を憂慮し失いかけている「日本人の心」を呼び覚まし、日本人としての輝かしい歴史や伝統をもっと大切にしよう。と呼びかけています。
 特に旧制高校時代の学生の勉学に対する在り方などは、今の学生あり方や大学の制度自体おも考えさせられます。大学とは本来「学問をつうじての人間形成の場」でなければならないのに今や、一般教養を軽視し専門的な事を早く学ばせると言った傾向にあります。大学が職業訓練化している現在、人間の形成に置いて本来何が大切なのかを考えるにあたっても一読するに値する書だと思います。
著書の中に彼が青春時代に読んだ本が数多く出てきます。その本なども是非皆さんにも読んでほしい本ばかりです。


文庫本も出ています。